介護離職防止の基礎知識⑯「失業保険の特例あるの?」
親の介護の為に退職!失業保険の特例あるって本当?
親の介護を理由に退職を考えている方もいらっしゃると思います。
退職後の生活を考えると不安を感じると思います。
そこで、失業保険の内容をここで紹介します。
①「介護を理由に離職した場合、失業保険は受けることはできるのだろうか?」
下記の条件を満たしている場合は受けることができます。
・本人に就職する意思がある人
そもそも雇用保険とは、失業中の生活を心配しないで再就職活動ができるようにするための保険です。
就職する意思がなければ、受けることはできません。
そのため、意思確認として、ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思を示さなければなりません。
・積極的に求人活動を行っている人
いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」でなければ、受給することができません。
・離職日の2年以内に12ヵ月以上の被保険者であった人
ただし、倒産・解雇等により離職した方(「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可能です。
この3つの条件を満たした方であれば、雇用保険を受給することができます。
②親の介護の為に退職!失業保険の特例あるの?
本来、雇用保険を受給できる期間は1年間です。1年間は、①の3つの条件を満たしている方は受給できます。
ですが、本人の病気やケガ、妊娠、出産・育児、親族等の看護・介護等のために退職後引き続き30日以上職業に就くことができない状態の場合、受給期間の満了日を延長することができます。これによって、本来の受給期間(1年)に職業に就くことができない状態の日数(最大3年間)を延長させることが可能となります。公共職業安定所(ハローワーク)への申請が必要です。
③失業保険ってすぐにもらえるの?
・すべての方
離職票の提出と求職の申込みを行った日から7日間(待機期間)、その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されません。
→ 離職の理由等にかかわらず支給されない。
・正当な理由なく自己都合により退職した方(給付制限あり)
待期期間終了後、更に3か月間は雇用保険の基本手当は支給されません。自己都合により退職した方は、給付制限の対象となります。
・紹介を拒否された方(給付制限あり)
公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練等を正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されません。
*実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限のない方でも、公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申込みをしてから数えて約1か月後となります。
④雇用保険の基本手当は、どのくらいの期間、受給できるのですか。
雇用保険の被保険者であった期間及び離職理由などによって、90日~360日の間で決定されます。
・一般の離職者
1年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日
・倒産、解雇等による離職者(特定受給資格者)
被保険者であった期間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 | 5年以上 | 10年以上 | 20年以上 | ||
5年未満 | 10年未満 | 20年未満 | ||||
離職時年齢 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30歳以上 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳未満 | ||||||
35歳以上 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳未満 | ||||||
45歳以上 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳未満 | ||||||
60歳以上 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
65歳未満 |
*介護を理由に退職された方は「特定理由離職者」に該当します。
受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から平成29年3月31日までの間は所定給付日数が「特定受給資格者」と同様でしたが、平成29年4月1日以降は一般の離職者と同様の日数となります。
⑤いくらぐらい受給されるのでしょうか。
基本手当の1日当たりの額(基本手当日額)は、離職日の直前の6か月の賃金日額(賞与等は含みません)の50%~80%(60~64歳については45~80%)です(上限額あり)。
上限については下記を参照してください。
「雇用保険の基本手当日額が変更になります ~平成 29 年 8 月 1 日から~」厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000130892.pdf
まとめ
介護を理由に仕事を辞めても、失業保険の特例は、受給される金額が上げるわけではありません。優遇措置を受けられるようなものではなりません。
金銭面を考えると、可能であれば、仕事をやめずに介護と仕事を両立することが賢明ではないかと思います。
ですが、ご家庭によっては、色々な事情をお持ちのかたもいらっしゃると思す。
まず、退職する前に、介護休業を受け、介護サービスを利用するなどの良い方法を考えることをお勧めします。
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